【経営コラム】ニッチの美学


…マイニッチ・ファインニッチを探してください。

『ニッチに特化すること』
事業の立ち上げを成功させるための条件を一つだけ挙げるなら間違えなくこれです。
であるにもかかわらず、創業者や事業家の過半が間違えているように感じます。

×『大きな事業をやりたいので大きなことから始める』…これは間違えです。
○『ニッチから始めて、最後は大きなことをやりたい』…これが正解です。

■ニッチとは何か?
『現時点の自分の力でも取組み得る事業分野』のことです。

◆自社(自分)の今の資本力は?
(○)
自己資金が百万円しかなければ、いきなり大きな投資はできません。
数百万円で第一段階をクリアできる事業を始めるしか方法はありません。
この小さな第一段階をクリアして次のステップを目指す、これが現実的な対応です。
(×)
自己資金が百万円しかないのに、いきなり数千万円もかかる事業を始めようとする、これは無茶です。

◆自社(自分)の今の実力は?
(○)
数名の社員で始めるならば、分野やエリアを限定して営業活動を行うしか方法はありません。
限定的な分野で、かつ、エリアを限定して営業活動を行えば、そのニッチの中で成果が出ます。
この小さな第一段階をクリアして次のステップを目指す、これが現実的な対応です。
(×)
数名の社員で始める会社が、広範な分野やエリアで事業を始めようとする、これは無茶です。

■想定力(想像力)の欠落が原因です。

◆百万円の自己資金で数千万円必要な事業を始めようとすると、向こう半年の資金計画が立ちません。単純な話ですが、度を越した楽観論を基準に資金調達計画と売上・利益計画を立案することで解決しようとします。想定力(想像力)が欠落しています。
間違えて起動してしまうと、瞬く間に破たんします。

◆数名の社員で、広範な分野やエリアで事業を始めようとすると、営業計画が立たないはずです。これも単純な話ですが、度を越した楽観論を基準に売上・利益計画を立案することで解決しようとします。想定力(想像力)が欠落しています。
間違えて起動してしまうと、瞬く間に頓挫します。

■ニッチの程度加減を理解してください。

『 抱っこひも収納カバー専門店 ルカコ 』 http://lucacoh.com/ 様をご紹介させていただきます。
赤ちゃん用の抱っこひもではありません。それのカバーの専門店です。
まさにファインニッチです。
女性起業家のプレゼンテーションで仙田社長のお話をお聴きしましたが、大変素晴らしいニッチ企業です。

敢えて愚問を設定してご回答いたします。
◆愚問:
抱っこひも収納カバーのマーケットサイズはどれ位あるのですか?
仮に、この分野の一番企業に成長しても、その売上はそれほど大きくないように思いますが?
◆回答:
抱っこひも収納カバーのマーケットサイズを云々する議論自体が私には無意味に感じます。
少なくとも数千万円から億単位の利益を出せるマーケットはあるはずです。
さらに、そこから派生する事業を創造すると、この会社の未来は前途洋洋です。
『とにかく掘って掘って…マグマが噴き出すほど抱っこひも収納カバーを深く掘ってください。
簡単にわきに逃げないでください。』と助言しました。

赤ちゃん用の、抱っこひもの、収納カバー…この位の程度加減が、普通の創業者にとって適切な『ニッチ』だと理解してください。

『ニッチに特化すること』
事業の立ち上げを成功させるための条件を一つだけ挙げるなら間違えなくこれです。
再度ご確認ください。