【経営コラム】社長の仕事の優先順位


…社長は、「急ぎでない重要な仕事」に時間を充ててください。

■仕事に追われる人生は大変です。
ビジネス初心者の二十代ならいざ知らず、四十代までには、仕事を主体的に進められるようになりたいものです。
主体的に行う仕事は、案外楽しいものですが、追われる仕事は辛いですね。

○いつも納期に追われてバタバタしている人がいます。
・他人に決められた納期を基準に、仕事をしているからでしょう。
・納期が迫るまで仕事を始めない、との見方もできます。

○一方、粛々と腰を据えて仕事を進める人がいます。
・自分で仕事のスケジュールを組み立てているからでしょう。
・納期が迫る前に、先手を打っている、との見方もできます。
 この違いが何故生まれるのか、検証してみましょう。

■仕事の進め方に違いがあるように思います。解明しましょう。
 仕事を区分してみましょう。区分する基準を二つ用意します。

○重要性の有無が一つ目の基準です。
・その仕事は重要か、重要でないかの区分です。

○緊急性の有無が二つ目の基準です。
・急ぎか、急ぎでないかの区分です。

○重要性と緊急性を組み合わせると四つに区分出来ます。
 さらに、それらの仕事に対して、取り組む順位を付けると、一般的には以下になりますが…
1.急ぎで、重要な仕事。
2.急ぎで、重要性の低い仕事。
3.急ぎでない重要な仕事。
4.急ぎでもなく、重要でもない仕事。

○上記の順位は模範解答の様ですが、実は正解ではありません。
本当は、3の『急ぎでない重要な仕事』を最初に持ってくるべきなのです。
言い方を変えると、1と2の仕事を極力減らすために、3の仕事にしっかり取り組むことが重要なのです。

■良く考えてください。

○そもそも、重要な仕事を急いで行う事は間違えです。
・重要な仕事は、じっくりと腰を据えて取組むべきであって、急いで対処すべきではありません。
・もちろん、急なトラブル等は、最優先で対応すべきですが、そもそも、そうならないように
 先手を打つべきです。
・言い方を変えると、重要な仕事を急ぐタイミングまで持ち込むこと自体が間違えです。

■いつも納期に追われてバタバタしている人は、

1.急ぎで、重要な仕事。
2.重要性は低いが、急ぎの仕事。
に追われる人です。

○『急ぎでない重要な仕事』に取り組むことが出来ていません。
だから急ぎの仕事に追われます。また、急ぎの仕事を終えると、次の仕事に取り組みません。先を見越すことが出来ていません。ただ、納期を守り、日々の仕事への支障が出にくく、多忙であるために、仕事ができているとの錯覚を抱いてしまいます。本人が自分の力不足に気付きません。これも大きな問題です。

■粛々と腰を据えて仕事を進める人は、

1.急ぎで、重要な仕事。
2.重要性は低いが、急ぎの仕事。
3.急ぎでない重要な仕事。
1と2をさっさと片付けて、3に取り組み続ける人です。

○『急ぎでない重要な仕事』に継続して取り組んでいるので、1や2に費やす時間が極端に少なくなります。本当に重要な仕事に充てる時間を確保できます。

■本当に重要な仕事には、(外部から決められる)納期はありません。

○本当に重要な仕事とは、自社や自分の近未来・未来を決めるための仕事です。
 外部から与えられる納期はありません。仕事の本質はここにあります。
○営業の仕事で例えるなら、
・納期の迫った提案書を作る仕事は、急ぎで重要な仕事です。
・一方、受注するための大局的な攻め方を考える仕事は、『急ぎでない重要な仕事』です。
○資金繰りの仕事はこれの典型です。
・目先の資金繰りは、急ぎで重要な仕事です。
・一方、『お金の心配をしないための財務戦略を継続して打つ』、これは『急ぎでない重要な仕事』です。
後者がしっかりできていなければ、前者の様な急ぎ仕事がたくさん生まれます。後者をしっかり済ませておけば、急ぎの仕事はほとんど生まれません。

●これらの本当に重要な仕事こそが社長の仕事です。

急ぎの仕事ばかりに追われていては、いつまでも仕事の主導権を取ることはできません。忙しいからこそ、『急ぎでない重要な仕事』の時間を確保して、近未来の忙しさから抜け出す種をまきましょう。
今日一日の、先週一週間の仕事の内訳を検証してください。

※銀行融資プランナー協会の正会員である当事務所は、クライアントに『お金の心配をできるだけしない経営を行ってもらう』ための新しい機能(=金融機関対応を含む財務の機能)を持つことを宣言いたします。我々は、『税理士』ではなく、『新・税理士』です。遠慮なくご相談ください。