【実践コラム】事業計画書を作成する目的


…金融機関に提出する事業計画書は返済の確実性を示すことが目的です

事業計画書とは未来に向かって事業をどのように進めていくかをまとめた資料です。事業プランをまとめた「事業概要書」と、売上と利益の推移見込みをまとめた「数値計画書」で構成されるのが一般的です。

インターネット等から、「事業計画書の書き方」等の情報を入手することは容易ですが、ひとことで「事業計画書」と言っても、その目的によって書き方は違います。まずは、ご自身が、何のために事業計画書を作成しようとしているかを明確にしましょう。

■ 事業計画書を作成する目的の例
・自身の構想をまとめるため。
・従業員、株主等に会社のビジョンを示すため。
・金融機関から資金を調達するため。

自身の構想をまとめるために作成する事業計画書は、ご自身の思いのままに作成すればよいでしょう。見せる相手は自分ですので、自分が納得するように作成します。数値計画も、ご自身が実現可能と考える最大値で作成するのが一般的ではないでしょうか。

従業員、株主等に会社のビジョンを示すために作成する場合は、自社がいかに素晴らしい会社であるかを伝えなくてはなりません。消極的な計画では従業員の士気も上がらないでしょうし、投資家も魅力を感じません。従って数値計画は、希望的観測を含めて、少しオーバーに作成するのが一般的かもしれません。

気をつけていただきたいのは金融機関に提出する事業計画書です。誤解を恐れずに申し上げますと、金融機関に事業計画書を提出する目的は、会社の魅力を伝えることより、返済の確実性を伝えることの方が優先されます。金融機関は、「資金があれば、優秀な人材が集まれば、ヒット商品が出れば・・・日本有数のビッグカンパニーになれる。」といった、多くの前提条件の上に成り立った事業計画書よりも、「資金が獲得できなかったとしても、優秀な人材が集まらなかったとしても、ヒット商品が出なかったとしても・・・返済は大丈夫です。」という事業計画書を望んでいます。

また、金融機関からいくらの支援を取りつけようとしているかでも計画書の内容は変わります。1,000万円の融資依頼に対して、世界制覇を目論む事業計画書を作成してしまうと、夢想家と思われてしまいます。この場合は、将来的には世界制覇を目論んでいるが・・・まずは1,000万円で県内制覇をするという計画書を作成するのが妥当です。

金融機関向けに提出する事業計画書の作成ポイントは、「返済の確実性を示すために、今回調達する資金で実現できる範囲の計画を作成すること。」です。心掛けてください。