【実践コラム】金融機関を選ぶポイント


…保証協会の保証枠をどの金融機関に割り振るかが重要です

大きな事業を目指せば目指すほど資金は必要になります。経営者にとって、資金の供給面で最大の事業パートナーとなるのは金融機関です。パートナー選びを間違わないようにしましょう。
より多くの資金調達を目指す場合の正しい金融機関選びをご紹介します。

地域により目安となる年商規模が変わる可能性はありますが、下記は、年商に応じた取引金融機関のイメージです。

■ 創業から年商3億円程度までのステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合からの保証協会保証付き融資
・信用金庫、信用組合からのプロパー融資

■ 年商3億円程度から年商10億円程度までのステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行からの保証協会保証付き融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行からのプロパー融資

■ 年商10億円超のステージ
・日本政策金融公庫からの融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行、メガバンクからの保証協会保証付き融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行、メガバンクからのプロパー融資

審査の難しい順で並べると、最も融資を受けやすいのは日本政策金融公庫で、次に保証協会保証付き融資です。続いて信金信組プロパー融資、地方銀行プロパー融資、メガバンクのプロパー融資となります。

資金戦略上最も重要なポイントは「保証協会保証付き融資をどこの金融機関に割り振るか。」です。保証協会とは、その名のとおり保証をする機関であり、直接融資をすることはありません。保証協会の保証があれば、例え創業したばかりの企業でもメガバンクから融資を受けることができますが、保証付き融資を利用する金融機関選びは重要です。

メガバンクからプロパー融資を受けられる基準にない企業が、保証付き融資をメガバンクで利用したケースを考えてみます。
メガバンクとの関係は、あくまでも保証付きが前提ですので、いざと言う時にプロパー融資をお願いしても門前払いです。その時に慌てて信金信組に駆け込んでも、初めてお付き合いする相手にいきなりプロパー融資を出す可能性は低くなります。また、信金信組の立場からすると、「メガバンクが安全性の高い保証付き融資なのに、なぜうちだけがリスクの高いプロパー融資を出さなくてはならないのか?」となります。

別の見方で検証します。貴社が年商3億円の企業と仮定した場合、超大手企業をメインの取引先としているメガバンクにとって、貴社はあまり重要でない顧客です。形式上の担当者か、もしくは担当すらつかないこともあります。一方、地域密着型で比較的小規模の事業者を取引先としている信金信組では、貴社は重要な顧客として迎え入れられる可能性があります。エース級の担当がつき、プロパー融資も含めて資金面を支えてもらえる確率が高まります。

より多くの資金調達を目指す場合、いかに早いステージでプロパー融資を調達できるかどうかが重要になります。いきなりプロパー融資を受けられるケースは少なく、一般的には保証付き融資からスタートして信用を積んだ後、少しずつプロパー融資を受けられるようになります。保証協会の保証枠には上限がありますので、最もプロパー融資を出してくれる可能性の高い金融機関で保証付き融資を利用するのが最善です。